世界との出会い87(文化の力)

⚫︎岩波書店の雑誌『世界』9月号の寺島実郎「脳力のレッスン」を読む。この論考の冒頭で、寺島は、物理学者アインシュタインと精神科医フロイトの往復書簡を取り上げている。その中で、アインシュタインは、「人間を戦争というくびきから解き放つことはでき…

世界との出会い86(高度飛翔体)

⚫︎以前「高速飛翔体」としての燕の素晴らしさについて書いたが、鳶などは、今度は、「高度飛翔体」と言っていいのではないか、と思う。朝、山を臨んだ停留所で、バスをまちながら、空を見上げると、かなりの上空に、鳶がゆっくりと輪を画きながら飛んでいる…

世界との出会い85(鏡の表面を歩く蟻)

⚫︎蟻が、硝子の垂直面を自在に歩き回るのは、驚異的なことではないか。鏡の表面は、半端無く滑らか、ツルツルである。目にした蟻は、可なり小さな種類だった。彼等のスケールからすれば、鏡の表面も凸凹しているのかもしれない。脚にも、ものの表面にしっか…

世界との出会い84(メンタライジング)

⚫︎他者とコミュニケイトする時に、心掛けるべきことは、次のこと。⚫︎相手も自分とよく似た心をもっているということ、そして、同時に、相手は自分と全く違う心をもっているということを想定しなければならない。⚫︎更に、相手は自分と全く違う心をもっている…

世界との出会い83(サイトカイン)

⚫︎生体にとって、生き抜くことは最優先事項。だから、そのシステムの中には、生き抜くための、死なないためのあらゆる、手立て、工夫、戦略が、組み込まれている。⚫︎たとえば、免疫系の中で機能するサイトカインという物質の働きの複雑さといったら、それは…

世界との出会い82(谷川俊太郎)

⚫︎やはり、これらの詩は、素晴らしい。⚫︎「黄金の魚」 谷川俊太郎 おおきなさかなはおおきなくちでちゅうくらいのさかなをたべちゅうくらいのさかなはちいさなさかなをたべちいさなさかなはもっとちいさなさかなをたべいのちはいのちをいけにえとしてひかり…

世界との出会い81(国会議員)

⚫︎とある国の最高学府を卒業し、その国の友好国のトップレベルの大学に留学した後、自国の立法府の議員になった女性が、自らの政策秘書に、罵詈雑言を浴びせているスキャンダルが、取り沙汰されている。人間だから、怒りを剥き出しにして、相手に言葉をぶつ…

世界との出会い80(sonic peace)

⚫︎『音速平和』水無田気流 思潮社 2008年。⭕️Chinpusanokintarouameniwasabiosankyu⚪︎

世界との出会い79(蔡英文)

⚫︎『蔡英文自伝』(白水社 2017年)を読んで。⚫︎国を思うということにも、過去指向的な気持ちと未来指向的な気持ちがあるように思われる。過去から引き継がれた伝統や達成されたものを重んじ、そこへ回帰しようとする運動と現在の状況を見極めて、それに…

世界との出会い78(宗教)

⚫︎多くの場合、ある宗教への信仰が全うなら、その信は強固なものであろう。強固で厳密であればあるほど、それへのアンチが必ず出てくる。というのも、宗教への信仰は絶対的であるが、世界は必ず相対的であるから。

世界との出会い77(べくしんすきー)

⭕️うぇぶじょうで、えすえふもののさいとなどをみているとおもしろいものをみつける。たとえば、そうさくしょーとえすえふのばいおじぇねしす。また、たとえば、すこーん。すこーんは、だいいちいんしょうは、ぎーがーのゆうきてきだーくわーるどだが、それ…

世界との出会い76(去る者は日々に疎し)

⚫︎『九十歳。何がめでたい』佐藤愛子 (小学館 2017年)を読む。便所(➡︎トイレ)の話などは本当に面白い。「運が悪かった」と考えることは、他者を責めすぎず、自分も前向きに生きて行く知恵だということを教えてくれる。今、この種の発想があまりに欠…

世界との出会い75(ポピュリズム)

⚫︎『ポピュリズムとは何か』水島治郎 (中公新書 2016年)を読む。新書の平均的な頁数内で、かなり詳しく世界のポピュリズム的特性を持つ政党を分析した本。⚫︎南米でも、西欧諸国でも、米国でも、日本でも、カリスマ的な指導者に率いられたポピュリズム…

世界との出会い74(マシン)

⚫︎機械は必ず、機能を持つ。その機能は、必ず、目的を持つ。機械は、「目的存在者」と言えるだろう。人間も目的を持って行動することは多いが、何の目的も持たずに行動することもある(生体としての人間、そしてあらゆる生物は、意識せずとも、生き抜くとい…

世界との出会い73(燕)

⚫︎燕という鳥には、毎年毎年驚かされる。その飛ぶことへの適応の見事さに。翼と嘴と尻尾が風を切る見事さに。三羽から五羽くらいが旋回しながら、すごい速度で初夏の空を横切る。彼らの飛行の軌跡は幾重にも交わっているように見える。しかし、急上昇、急下…

世界との出会い72(アイロニカルな没入)

⚫︎アイロニカルな態度に終始している人間関係のあり方、或は「アイロニカルな没入」という概念を安易に批判する人がいるが、そう言う人は、それがどんなものかということさえ理解していなのではないか。この概念は、ある人々には、理解しがたいものだろう。…

世界との出会い71(自由)

⚫︎「自由でいたければ、貧乏に慣れろ。」(If you want to remain free, get accustomed to be poor.)⚫︎「より現実的な言い方をすれば、ある程度自由でいたければ、ある程度貧乏に慣れろ。」(More actually speaking, if yot want to remain free to some …

世界との出会い70(東浩紀を読んで)

⚫︎『弱いつながり』東浩紀 (幻冬社 2014年)を読んで。⇩⚫︎旅によって環境を変えることは既知の関係ー人との関係と物との関係(例えば、マトリョーシカ)ーに新しい視点をもたらしてくれる、というのは、特段珍しい考え方ではない。しかし、ネットに繋が…

世界との出会い69(三つの驚異的存在者)

⚫︎人間の世界に存在する最も驚くべき存在者は、①宇宙(universe)②生命(life)③言語(language)である。⚫︎これら三つのカテゴリーは、個物ではない、普遍的存在者である。宇宙そのものも、生命そのものも、言語そのものも、それ自体としては存在しない。⚫︎…

世界との出会い68(ポール・マッカートニー)

⚫︎ポール・マッカートニーの東京ドームライブは、ビートルズ、ウィングス、NEWからのいつもの楽しい定番曲が目白押しだったが、ここ数年のライブでは演奏されてない曲で印象的だったのは、アコースティックギターを持ってのYou won't see me。ポールの曲らし…

世界との出会い67(オノマトペ)

⚫︎日本人は、犬が吠えるのをワンワンと言うが、実際に聞こえてくる犬の吠え声は、日本語にはならない音声(✖️△◎?!)である。この音声は、日本語の中では、慣例的にワンワンという、オノマトペとして犬が吠える音声を表す。英語ではbow-wowのように別の音声…

世界との出会い66(総合的含意)

⚫︎スペルベルとウィルソンの『関連性理論』というコミュニケーションの理論の中に、分析的含意と総合的含意という概念が出てくる。分析的と総合的という区分はグライスを通ってカントに由来するものだが、分析的判断は、本来、ある概念の中に元々含まれるて…

世界との出会い65(言語の学習)

⚫︎言語の学習、言語使用の訓練はいつ何処ででもできる。一日中一言も発しない人はほとんどいないのではないか。人の話を聞き、喋るときや、本や新聞・雑誌を読む時は、誰にも訪れる。その気になれば、4技能を磨くチャンスは、ここそこにある。(We can lear…

世界との出会い64(自己のコントロール)

⚫︎他の存在をコントロールできないのは、自己の存在をコントロールできないからである場合がある。(There is the case in which we cannot control other beings because we cannot control ourselves.)もちろん、自己の存在をコントロールできても、他の…

世界との出会い63(両義性)

⚫︎曖昧なものと、曖昧でないものつまりはっきりしたもの とのバランスを取ることが、大切ではないだろうか。現実に起こっていることというのは、概して曖昧なものである。効率を追い求める管理社会においては、はっきりとしたことが優先されがちで、曖昧なも…

世界との出会い62(評価について)

⚫︎評価ということについて考えてみると、様々なものがある。・自己評価(自己による自己の評価)と他者評価(他者による自己の評価)・絶対評価(自己内での比較による評価)と相対評価(自己と他者との比較による評価)・結果評価(達成された結果による評…

世界との出会い61(問題解決について)

⚫︎いわゆる「頭の良さ」と記憶力の関わりは深い気がする。何故なら、問題を解決する際に、人は知識を活用するが、その知識は、記憶によって脳内に保持されているようだからである。単純な問題を解くには、殊更、大量の知識は必要ないかもしれないが、複雑な…

世界との出会い60(動詞の過去時制)

⚫︎例えば、Could you 〜?やWould you 〜?のような過去時制が、丁寧表現に繋がる緩衝表現になるのは、何らかの負の刺激を含むかもしれない言語表現を、現在=今から遠ざけることができるから。 ⚫︎英語の文法も、単に機械的に暗記するよりも、できるだけなぜ…

世界との出会い59(世界の理解)

⚫︎理論とは、世界についての精緻な説明であるが、知性に訴える学問が、この仕事を主に担う。しかしまた感性に訴える芸術も世界を理解するための重要な手立てである。世界に対する理解が深まっていけば、正しい実践を指し示すこともできるだろう。その目指す…

世界との出会い58(ゆっくり読む)

⚫︎分厚い本は毎日ゆっくりと、少しずつ読むこと。 (We should read a thick book slowly little by little everyday.)