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世界との出会い10

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⚫︎『マズロー心理学入門』(中野明  アルテ 2016年5月)の中で、著者は、アメリカの心理学者マズローが「人間性の最高価値」という概念に至る経緯を述べている。この心理学者が、人間に内在する高い価値を自覚するのに強い影響を受けた二人の人物が存在した。その二人とは、ゲシュタルト心理学の創始者の一人であるマックス・ヴェルトハイマーと『菊と刀』という日本論で有名な文化人類学者のルース・ベネディクトである。この二人の人格的高潔さや大きな業績を達成する人間的な能力に、マズローは、いたく感銘を受けたのである。これらの人物との出会いをきっかけに、マズローは、人間に内在すると考えられる高い価値について深く研究するようになった。そして、そのような人間の普遍的な内在価値を自覚させる経験として至高経験(Peak Experience)というものを挙げている。ウィリアム・ジェームズ(アメリカの心理学者・哲学者)が神秘体験と呼び、チクセントミハイ(現代アメリカの心理学者)がフロー体験と呼んでいるものである。それは、スポーツでは、ゾーンと呼ばれることもある。マズローはこの体験から、神秘主義的な要素を、できるだけ排除したかったようだ。

⚫︎チクセントミハイは、そのフロー体験を得る条件として、三つを挙げているが、それは、上の著書によると、

第一に、「適切な反応を必要とするはっきりとした目標に向き合うこと」

第ニに、「目標に向かう行為において自分がどれだけうまくできているか、フィードバックによって確認できること」

第三に、「自分のスキルがチャレンジしている内容にギリギリ届くこと」である。

目標に向かう努力の延長線上に至高経験が達成されるとすれば、この経験は万人に開かれていると言えるかもしれない。