世界との出会い66(総合的含意)

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⚫︎スペルベルとウィルソンの『関連性理論』

というコミュニケーションの理論の中に、分析的含意と総合的含意という概念が出てくる。分析的と総合的という区分はグライスを通ってカントに由来するものだが、分析的判断は、本来、ある概念の中に元々含まれるている意味を取り出す作業であり、総合的判断は、ある概念の中に含まれるといるというよりも、概念を他の概念と統合して生み出す作業である。コミュニケーションにおいても、新たな外延を生まない分析的含意と、以前は存在しなかった判断を含む総合的含意が存在する。コミュニケーションにおいては、発話の当事者同士に背景知識が必要だが、そのような知識は、チャンクと呼ばれる塊のかたちで、記憶装置の中に保存されているという。

チャンク同士が結合した時に総合的含意が生まれることになるが、それはその時に捉えないと二度と出会えないかもしれない。簡単に言い換えると、どんな小さな閃きでも、メモっておいた方がいいと言うことだろう。もう二度と出会えないかもしれないから。

⚫︎ところで、人工知能は、トートロジー的な分析的判断ではなく、創造的な総合的判断ができるのだろうか。それとも、この超優秀なマシンからすれば、人間が、「創造的」と考えることも、陳腐な戯言に過ぎないのだろうか。