世界との出会い86(高度飛翔体)

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⚫︎以前「高速飛翔体」としての燕の素晴らしさについて書いたが、鳶などは、今度は、「高度飛翔体」と言っていいのではないか、と思う。朝、山を臨んだ停留所で、バスをまちながら、空を見上げると、かなりの上空に、鳶がゆっくりと輪を画きながら飛んでいる。三回、四回と、悠々と回っている。おそらく、獲物を探しているのであろう。そうであれば、その視力にも驚くのだが、何よりも、上空100m〜150m(あるいはそれ以上)の位置で、目立った羽ばたきもせず、浮かんでいられる身体を獲得したこと事態が、奇跡としか思えない。

⚫︎雑誌『日経サイエンス』の2017年6月号に、恐竜が鳥へと進化した時の羽毛の発達についての記事が載っている。羽毛の発達の端緒は、飛ぶという機能のためよりも、異性へのアピールではないか、という論点も、面白いが、羽毛という、素材の精緻な構造と徹底的に軽量化を図った身体についての指摘も興味深い。圧倒的に軽い身体と空気という流体に最も適応した羽毛という素材無しには、「高度飛翔体」はありえないのである。