世界との出会い8

⚫︎「世界との出会い」という表現の「世界」とは、先ずは、感覚と知覚によって構成される「像」を持っている世界。そして、言語によって、徐々に概念化されつつ、感情によっても浸透されている世界である。

⚫︎マーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙ーSilence』を見た。様々なことを考えさせる映画だった。歴史の大きなうねりの中で異文化同士が出会う時の悲劇。世界の至る所で起こっていることが、日本でも起こった。
⚫︎言語の問題。関係する言語は、ポルトガル語、日本語、英語であるが、当然、これらの言語の使用は、フィクショナルにならざるをえない。と言うより、ある意味で、戯画的、漫画チックにならざるをえない。
⚫︎精神・魂は、肉体を超えるのだ、ということを再認識させる映画だったが、それを可能にさせるのは、やはり、超越者の存在か。
⚫︎最後のシーンの問題。これも、監督の考え抜いた結果なのだろう。「ころぶ」前と後の生き方は、必ずしも、矛盾するものではない。折り合いを付けるというのも、人生の一つの姿だから。
⚫︎小説の解釈の問題。歴史上の出来事と作家が出会い、彼の力によって表現にもたらされたテキストとしての出来事。それを契機にして制作された映像作品。これら三者は、どのような関係にあるのだろう。
⚫︎超越の問題。最も高い聖なる超越者と最も俗的なものによって織られている歴史という織りもの。