世界との出会い20
⚫︎哲学的概念は、自分即ち私が、思考する為にある。私の周囲に展開する世界を理解し、それと折り合いを付けるため、それと闘う為にある。
⚫︎あなたのまえに、箱がある。その中には、何が入っているか分からない。ひょっとしたら、何も入っていないかもしれない。あなたの周りの人たちは、いいものが入っているとか、悪いものが入っているとか、何も入っていないとか、様々なことを言う。その箱には、蓋も繋ぎ目もないので、中を覗くことはできない。あなたには、中身が、皆目分からないが、いいものが入っていると言う人たちに出会うと、そう思えてくるし、悪いものが入っているという人たちは会うと、そう思えてくる。何も入っていないと、言いはる人の話を聞くと、そうとも思えてくる。
⚫︎大澤真幸の『現代宗教意識論』(弘文堂 2010年)を読んでいて、ふと疑問に思ったこと。一つは、仮説はどのようにして生まれるのか、という疑問。推測、投射、直感からか、理論とのキャッチボールからか。もう一つは、問題を根本的に解決する鍵はバランスであるということ。まず、バランスの認識が必要。そしてバランスが要求される双方に対する認識が必要。つまり、適切な弁証法的な判断が必要。次に、バランスを実現する実践が必要。
世界との出会い18
世界との出会い17
⚫︎バランスを考える時に、参考になるのは、綱渡り。細い綱の上を持続的に歩くにはまず、左右の力のバランスを考えなければならない。右に倒れそうになったら、左への力を加えなければならない。その逆も当然必要。相反するものでバランスが必要なのは下の様な諸関係項目。
前後
左右
上下
赤白
黒白
男女
内外
大小
多少
部分全体
昼夜
心身
善悪
正反
硬軟
快不快
中心・中央周辺
優しさ厳しさ
運動静止
饒舌寡黙
喧騒静寂
その他(もっと色々あるだろう)
世界との出会い16
⚫︎『思想をかたちにする 上野千鶴子対談集』(青土社 2015年)を読んでいる。イマニュエル・ウォーラーステインを引いて、P161「…複数の世帯員が小銭をかき集めて、持ち寄り家計で助け合って生きるのが、次世代型のサバイバルだと。わたし(上野)は全くそれに同感です。」また、宇野常寛を引いて、P170「承認の供給はたいしたものである必要はなくて、小さな承認をかき集めればよいと言っていますね。とても納得できる議論でした。」とあった。
小さなものを集めていくというのが現実的な生き残り法かもしれない。小さなものでも満足できる自己をどうやって作っていくか。
それが問題だ。小さいからと言って、浅い満足だとは限らない。